メキシコのちびくろサンボ『メミン・ペンギン』が新切手に

SISTER-ON-FIRE2005-07-02



「メキシコからの移住者はアメリカで黒人でさえもやりたがらない仕事に就いている。」と発言してアフリカ系アメリカ人や活動家などから批判を浴びたメキシコのビンセント・フォックス大統領は、「間違った解釈をされた」としながらも謝罪を表明した。

しかしその数週間後のこと、メキシコ政府は5種類のある切手を新しく発行した。
そしてその内容は再びアフリカ系アメリカ人の政治家や人権保護団体、アフリカ系メキシコ人などの間で大きな問題になっている。彼らは切手の回収を求めているが、自分もメミンの大ファンだというフォックス大統領は、回収する見込みは全くないと豪語する。

そしてこれらがその問題の切手。



このキャラクターは、1940年代にメキシコに登場した漫画『メミン・ペンギン』の主人公メミン。異常に厚い唇と、黒光りする黒褐色の肌、大きく見開いた目にまるで猿のような耳。メミンの全ての顔のパーツは、黒人の顔を意図的に大袈裟に誇張して描写されたもの。でも更に驚かされるのはその見た目の問題だけじゃない。メミンはストーリーの中で、顔の骨格やしゃべりかた、さらに貧しい服装について、たびたび白人系メキシコ人(ちなみにフォックス大統領も白人系のメキシコ人)にからかわれたり、イジメられたりもするという。


コミックの表紙をみれば大体の見当はつくかもしれない...。


郵便局のマーケティングディレクターアシスタントは、これらの切手は侮辱的なものではないし、また意図的なものでもないと言う。

「これはメキシコの文化の一部を反映する伝統的なキャラクターです。いたずら好きな性質は彼のキャラクターの一部。」

う〜ん...確かに彼のいうとおり、このキャラクターはメキシコの文化の一部を反映しているのかもしれない。この時代にもなって人種差別に鈍感なままの、人権教育が遅れたメキシコの文化の一部を、だ。

そして一昨日メキシコ外務大臣秘書が今回の問題についてこうコメントした。

「私たち(メキシコ)の文化に対する敬意が全然足りない。」

じゃあ自分たちの文化であれば、過去の差別行為さえも正当化し、さらにはそれを切手に印刷してお祝いしちゃっても良いわけか? 
あ、あの、ここは21世紀ですよ。

異なった人種が快適な共存する際に欠かせない『ポリティカル・コレクトネス』がメキシコの文化に根付くまでには、これからかなりの努力と時間がかかりそうな気配...。