30歳の子役スター ピーター・バークの狂い咲き


映画『ゾンビ3』(1980・イタリア)に出演している少年マイケル役のピーター・バーク/Peter Barkっていう少しダリオ・アルジェント似(笑)の俳優がいる。彼はこの映画の前後でいくつかの映画に出演してはいるものの、現在の彼の行方を知るヒトは残念ながらいないらしいミステリアスな彼は、この『ゾンビ3』の中でメインディッシュであるはずのゾンビ以上に気味の悪いオーラを画面いっぱいに放出する迫真の演技で、ゾンビのシーンでさえもソンビより彼のほうに目が行ってしまう。

 愛想をふりまくマイケル少年

子役が演じる予定のシーンの一部にイタリアの映倫にひっかかる部分があるってことで、その部分を書き直す代わりに少年に見える(?)当時30歳の彼を選んだらしんだけど結果、本物の少年を配役するよりずっとヤバイ映画に出来上がってしまうのだ。でもそれは彼の責任ではなく彼を抜擢をした人間の責任であるといったほうが正しい。

マイケル少年は「んママァ〜? んママァ〜?」と繰り返ししつこく母親につきまとい、恋人とイチャつく母親の寝室までストーカーするマザコン息子で、【この先ネタバレあり】攻防の末にゾンビに殺され自らもゾンビになってしまう。でも息子が生き返ったんだと思い込んだ現実逃避の母親は、そのネクラな35歳の顔と10歳の体を持つ息子に乳房を差し出し母乳(!)をあげようとする。するとマイケル少年はそんな母親の心意気を踏みにじるかのように、乳房をハムハムとほおばったかと思うと豪快にママのおっぱいを食いチギってしまうのだった。

...最終的にこの構図には疑問を感じなかった当時のイタリアの映倫どうかしてるぞ。それとも計算づくだったのか。イタリアンのプライオリティ恐るべし! でも彼らのエクスプロイテーション的営業方針のおかげで予想外のシュールレアリズムなる偶然の産物を映画の中に見出すことが出来たんだから、逆に手をとって礼を言うべきなんだろうか。ちなみに『ゾンビ3』はフルチのとは無関係です。



ゾンビ3 無修正デラックス版