ELVIS ON THE WHEELS !

SISTER-ON-FIRE2005-06-08


70年代にアメリカで一世風靡した伝説のスタントライダーがいる。最も多くの骨(35ヶ所!)を骨折した人としてギネスにも名を残す命知らずの彼の名はEVEL KNIEVEL(イーベル・ニーベル)。

アメリカ国旗にインスパイアされたド派手なジャンプスーツと、それとお揃いのハーレー・ダビッドソンでビジュアルをスキ無く固めた彼の姿は、まるで車輪のついたエルビス・プレスリーだ。

そしてその彼が彼自身を演じる一風変わった映画がある。その名も『Viva Knievel(邦題:ビバ・ニーベル) 』。一見伝記モノにみえるこの映画は実は少なくても75%はフィクションで、当時のエクスプロイテーションムービーの要素がぎっしり詰まったアクションヒーローもの。でも登場するみんながみんなニーベルを不自然なほど絶対崇拝していて、ストーリーもやけにおおげさだし、セリフもなんかいちいちクサくてまるでどっかの国のプロパガンダ映画みたいだ。

夜の"孤児院"に忍びこむシーンでは、不法侵入で捕まるかわりに異常に興奮した孤児達にとり囲まれるニーベルは、サンタクロースのように当時実際にアメリカで販売されていたEVEL KNIEVELのおもちゃを孤児たちに配ってニーベル公認のおもちゃの宣伝をしてみたりする。

更にその中の一人の下半身が不自由な松葉杖の孤児の少年は、ニーベルの日頃の勇気あるスタントに感化されたといって、前触れもなく突然松葉杖を投げ出して歩きだす始末だ。

 


(以下スポイルあり)

全体のストーリーとしては、メキシコでのスタントショーの企画を持ちかけ、本番前にバイクにある細工をして事故に見せかけてニーベルを殺したあとに、チーチ&チョンの『 UP IN SMOKE 』みたいに大量のコカインを側面にびっしりとはめ込んだトレーラーにお棺を入れて、メキシコからアメリカにコカインを大量密輸しようと企むかなり手の込んだプランを実現させようとするドラッグディーラーと戦うみんなのヒーローニーベル・・・なんだけど、たまにニーベルは制御の利かないロボットのように突然マーシャルローモードに切り替わるときがある。

精神病院に無理矢理入れられた彼のバイクのエンジニアを助けるために、夜の病院にバイクごと突っこんでドアを突き破ると、他の病人への迷惑もかえりみずに病院内を爆音で走りぬけてみたりだとか、カー(バイク)チェイスのシーンでは目的の敵とは明らかに無関係そうな、小さな村の村人達が食事を楽む、こじんまりとしたレストランにこれまたバイクのままで侵入したかと思うと、暴走族顔負けの暴力的なけたたましいエンジン音を立てながら、バイクでグルグル回転してすべてイスとテーブルが原型を失うまで破壊行為を繰り返し、またドアを勢いよく突き破って去っていったりするもうメチャクチャな迷惑行為のオンパレードで、つっこみを入れるほうもちょっと食傷気味になってしまうくらいおもしろい。

でも残念なことになぜか日本ではまだDVDは発売されてないみたい。でも運が良かったらビデオレンタル屋でお目にかかれると思います。『ビバビバ・・・』とちょっと恥ずかしいテーマソングも心に染みます。



ところでビデオのカバーにデカデカと描かれてた銃のイラスト部分だけがDVDのカバーから消されている...。


今も健在な人間ターミネーターEVEL KNIEVELのオフィシャルサイト

http://www.evelknievel.com/